「暇だから早く帰って」は違法?会社都合の早退とバイトの休業手当・給料補償計算

飲食店やアパレル店、美容室などで、雨の日や急な予約キャンセルで客足が鈍い時間帯に「今日は暇だから2時間早く上がっていいよ」とスタッフを帰宅させる光景は日常的に見られます。しかし、会社や店舗の都合で予定していたシフト時間を切り上げて帰らせる場合、単に『働かなかった2時間分の時給を削る』のは労働基準法第26条違反となります。会社都合の早退に伴う休業手当の正確な計算ルールと、合法的な店舗運営のポイントを解説します。
- 会社都合の早退は「労働基準法第26条の休業(一部休業)」に該当する
- 早退時の休業手当の計算方法:実働分の賃金と平均賃金60%の比較
- 合法的に早退させるための実務運用3原則
1. 会社都合の早退は「労働基準法第26条の休業(一部休業)」に該当する
労働基準法第26条では、「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当(休業手当)を支払わなければならない」と定められています。
ここでの「休業」には、丸1日の休業だけでなく、「1日の所定労働時間の一部を短縮して早退させた場合(一部休業)」も完全に含まれます。
店舗が暇だから、客が来ないから、発注ミスで材料がないから、といった経営上の理由はすべて「使用者の責に帰すべき事由」に該当するため、会社は一方的に給与をカットすることはできません。
| 早退の理由・態様 | 区分の種類 | 休業手当支払いの要否と給与計算ルール |
|---|---|---|
| 店長から「客が来ないから上がって」と指示 | 会社都合(指示) | 休業手当の対象(平均賃金60%との差額補填が必須) |
| スタッフから「体調が悪いので帰りたい」と申告 | 自己都合(私用) | 休業手当不要(働かなかった時間分のみ控除) |
| 店長「暇だけど帰る?」→スタッフ「帰ります!」 | 自己都合(合意) | 本人の自由意思による同意があれば休業手当不要 |
| 台風直撃で公共交通機関が計画運休し店舗閉鎖 | 不可抗力(天災地変) | 使用者の責に帰さない不可抗力と認められれば手当不要 |
2. 早退時の休業手当の計算方法:実働分の賃金と平均賃金60%の比較
一部休業(早退)の場合、支払うべき金額は行政通達(昭和27年8月7日 基収第3445号)により以下のように厳密に計算します:
【計算ルール】:その日実際に働いた時間の給与と休業手当の合計額が、最低でも「1日分の平均賃金の60%」に達していなければならない。
すなわち、【実際に働いた時間の賃金】が【1日の平均賃金の60%】を下回る場合に、その差額を休業手当として支給します。
| シフト予定 | 実働時間 | 実働賃金(時給1,100円) | 平均賃金の60%(仮に5,000円) | 会社が支払うべき金額 |
|---|---|---|---|---|
| 8時間(日給8,800円) | 2時間で早退 | 2,200円 | 5,000円 | 5,000円(実働2,200円 + 休業手当2,800円) |
| 8時間(日給8,800円) | 5時間で早退 | 5,500円 | 5,000円 | 5,500円(実働賃金が60%を超えているため追加手当ゼロ) |
| 4時間(日給4,400円) | 1時間で早退 | 1,100円 | 2,640円 | 2,640円(実働1,100円 + 休業手当1,540円) |
3. 合法的に早退させるための実務運用3原則
店舗の利益を守りつつ、法令を遵守して早上がりを実施するための実務手順:
① 「指示」ではなく「打診・提案」にする:『もし早く上がりたければ上がってもいいよ』とスタッフに希望を募り、自発的な合意のもとで帰宅させる。
② 同意の証拠を勤怠システムに残す:後から『無理やり帰らされた』と言われないよう、タイムカードの打刻備考欄や勤怠システムで「本人希望による早退」を選択・記録させる。
③ 会社の都合で帰らせる場合は差額補填を徹底する:人件費削減のために強制帰宅させる場合は、給与計算時に不足分を正しく休業手当として計上する。
4. クラウド勤怠で「シフト乖離理由」を客観的に記録
紙のタイムカードでは、予定シフトより早く退勤している記録しか残らず、それが「会社都合」なのか「本人希望」なのかを後から証明できません。
『勤怠管理さん CLOUD』なら、予定シフトより早く退勤打刻する際、スタッフのスマホ画面に「早退理由(本人私用 / 体調不良 / 店舗指示)」の選択肢を表示させることができ、労基署監査でも完璧なエビデンスを保持できます。
あなたの店舗・事業所に合う自動化ツールを比較表でチェック
本記事は、厚生労働省策定ガイドライン、労働基準法(第32条・第36条・第37条・第108条)および関連省令に基づいて制作・定期更新しています。
勤務時間や割増賃金の計算後、毎月の給与明細作成や税金・社会保険の控除計算はミスが多発しやすい作業です。勤怠データをそのまま取り込んで給与明細発行・年末調整まで全自動化できる実績No.1ソフトがおすすめです。

打刻実績とシフトの乖離理由もスマートに記録
自己都合早退と会社都合早退を区分して記録でき、労務コンプライアンスを確実に担保します。



