【遅刻の減給・ペナルティは違法?】労基法上の給料天引きルールとノーワークノーペイの正しい計算方法

「寝坊で30分遅刻した社員がいる」「パートが家庭の事情で1時間早く早退した」という場合、給与からその時間分を天引きすることは『ノーワーク・ノーペイの原則』に基づき適法です。しかし、『15分遅刻したら30分分差し引く』『遅刻1回につき罰金1万円』といった現場独自のルールは、労働基準法違反(全額払いの原則違反・制裁限度違反)になります。正しい控除計算とペナルティの法的限界を解説します。
- 原則:働かなかった時間分だけを控除する(ノーワーク・ノーペイ)
- 遅刻・早退の1時間あたり控除額の計算式
- 「ペナルティ(罰金・減給)」を科す場合の労基法第91条の上限
1. 原則:働かなかった時間分だけを控除する(ノーワーク・ノーペイ)
労働基準法第24条では「賃金全額払いの原則」が定められていますが、労働契約上、労務を提供しなかった時間(遅刻・早退・欠勤)については、その分の給与を支払う義務はありません(労働契約法第5条・民法624条)。
ただし、控除できるのは「実際に遅刻・早退した時間分のみ」です。
例えば12分遅刻した従業員に対して、会社のルールとして15分や30分に切り上げて控除することは、実際の不就労時間を超える部分の賃金を不当に天引きすることになり、違法となります。
2. 遅刻・早退の1時間あたり控除額の計算式
月給制の正社員の場合、以下の計算式で1分単位または正確な時間単位で控除額を算出します:
【1時間あたりの基礎賃金】=(月給 - 除外賃金)÷ 月平均所定労働時間
【控除額】= 1時間あたりの基礎賃金 ×(遅刻・早退時間(分)÷ 60)
※除外賃金:家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、住宅手当、臨時に支払われた賃金、精皆勤手当(労基法第37条第5項・施行規則第21条)。
3. 「ペナルティ(罰金・減給)」を科す場合の労基法第91条の上限
度重なる遅刻に対する懲戒処分として「減給」を行う場合、就業規則に根拠規定があり、かつ労働基準法第91条の以下の2つの上限を絶対に超えてはなりません:
1. 1回の事由に対する減給額:平均賃金の1日分の半額以内
2. 1賃金支払期(1ヶ月)の減給総額:その月に支払われる総賃金の10分の1(10%)以内
不就労分の天引き(ノーワーク・ノーペイ)とは別に減給処分を行う場合、この上限を超える額を差し引くと罰則(30万円以下の罰金)の対象となります。
| 項目 | ノーワーク・ノーペイ控除 | 懲戒処分としての減給(91条) |
|---|---|---|
| 目的 | 働かなかった時間の賃金不払い | 規律違反に対するペナルティ・制裁 |
| 金額の基準 | 遅刻した実時間分のみ(1分単位) | 平均賃金1日分の半額が上限 |
| 就業規則の要否 | 原則不要(定めておくことが望ましい) | 就業規則の懲戒規定が必須 |
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本記事は、厚生労働省策定ガイドライン、労働基準法(第32条・第36条・第37条・第108条)および関連省令に基づいて制作・定期更新しています。
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